Introduction

迷光解析

迷光とは、光学系において設計者が意図しない(そして一般的には好ましくない)パス(光路)が存在することであり、正規の受光信号のノイズとなります。 これらのパスは、光学部品または機械部品の表面からの散乱やゴーストパス(ガラスなどの透過面表面からの反射)などにより生成されます。

FREDの強力なツールセットは、これら迷光のパスを簡単に見つけることができるように長年に渡り開発されてきました。FREDは迷光分析に不可欠なツールと云えます。

この記事では、光学系に含まれる迷光をシミュレートおよび識別するためのいくつかのFREDの機能について説明します。

  • • 詳細なレイトレースコントロール
  • • パスを生成する方法
  • • 光線追跡のパスレポート
  • • レイフィルターと「投げ縄」フィルターを使ったフィルタリング
  • • 迷光レポート

The NASA Terrestrial Planet Finder (TPF)

NASAの地球型惑星探査機(TPF)プロジェクト
-恒星を周回する惑星を観測するための宇宙に配置する望遠鏡計画-

恒星の影響を低減して、惑星の映像を鮮明に映像化するマルチ望遠鏡・干渉計システムから構成されています。

光学解析ソフトウェアFREDは、このTPFプロジェクトで、原理実証・感度検証・光の散乱による性能への影響などを分析するために使用されました。

NASAの地球型惑星探査機(TPF)のコンセプト図
TPF simulation 1
TPF simulation 2

Demonstration of Principle

左図:FREDで再現された仮想シミュレーションモデル
光は設置された2つの望遠鏡モデルに入射し、光路上に配置された位相板を通過します。

  • 計算結果(A):干渉計を使用しない映像
    恒星の像が明るいため惑星は見えません。
  • 計算結果(B):位相板を調整することで、黒い矢印で示した位置に、惑星が鮮明に見えます。
直接撮像 - 恒星像のみ (A)
星像消去後 - 惑星を検出 (B)

Performance Degradation Due To Scatter

望遠鏡システム内の主鏡と副鏡に対し、理想的な環境と異なるそれぞれ2種類の散乱特性を持つことを想定して、映像への影響についてFREDで検証しました。

  • 光学表面のマイクロラフネス(表面の微細な凹凸)
    • 表面の微視的な凹凸を20Å rmsと仮定
    • 波長10μmにおける全積分散乱(TIS)は6.3x10 %-4
  • 粒子汚染(表面に粒子が付着した状態)
    • MIL-STD-1246の分布に従って、表面が微粒子で覆われていると仮定
    • 2つのレベルを設定(CL400 / CL600)
    • ※MIL-STD-1246規格(宇宙機器の粒子および分子汚染レベル)
表面粗さ(マイクロラフネス)による散乱の影響
粒子汚染による散乱の影響

Simulation Results

恒星観測衛星による惑星観測像

恒星観測衛星による惑星観測像

理想的な鏡面を使用

理想的な鏡面を使用 最適な状態

表面粗さ:20Å rms / 粒子汚染:0.1%

表面粗さ:20Å rms / 粒子汚染:0.1% - コントラスト低下 コントラストが低下

表面粗さ:20Å rms / 粒子汚染:0.1%

表面粗さ:20Å rms / 粒子汚染:1.0% - 観測不可 観測不可

Stray Light Analysis of the Large Synoptic Survey Telescope (LSST)

ルービン天文台に設置される8.4mのシモニ―サーベイ望遠鏡は、 史上最大のデジタルカメラとなるLSSTカメラを搭載し、南半球の 夜空を数日に分けて全天空を撮影します。

超ワイド、超高精細なタイムラプス画像記録のための稼働が予定 されています。

FREDはこの望遠鏡の光学設計を検証し、独自の遮蔽手法を 必要とする迷光対策のメカニズム開発に使用されました。

シモニ―サーベイ望遠鏡(LSST)
LSSTの完成予想図 完成予想図
LSSTの光路図 LSSTの光路図
LSSTのFRED計算モデル FRED 計算モデル
LSSTのFRED計算モデル(断面図) FRED計算モデル(断面)

The FRED Optical Model

FREDモデルでは、ミラーに平均反射率94%の 銀コーティングを設定。 表面粗さにHarvey Shack(表面散乱理論)の 散乱特性を設定。

汚染解析のためのMie粒子モデル
  • • EST-STD-1246Dの汚染分布モデルにMie粒子 モデルを設定
  • • 平均反射率1.5%未満の反射防止コーティング を表面処理として設定
  • • CCD検出器の鏡面反射率を18%に設定
  • • 周辺部品の表面処理にはAeroglaze Z306 / Black Paintscatterを設定

Stray Light Analysis Results

- PST” Point Source Transmittance- 点光源透過率

PSTは、高感度宇宙用センサー搭載望遠鏡の設計要求に応える ための迷光解析手法の一つです。

  • (a) 算出方法:PST=検出器に到達した全光量/システムに入る全光量
  • (b) 望遠鏡の変化量:仰角(0~80°)、方位角(0〜180°)
  • (c) 計算結果グラフ:仰角毎の計算結果を分析し、迷光の原因には3つの グループが存在する事がFREDにより判明しました。
  • (i) 2~10度:主鏡と副鏡の表面粗さの影響
  • (ii) 10~40度:バッフル及び筐体での散乱の影響
  • (iii) 40~80度:望遠鏡上部のドームからの散乱の影響
PST(点光源透過率)の算出方法の図解 (a)
望遠鏡の仰角に関する変化量 (b)
PSTの計算結果グラフ (c) 計算結果グラフ

Photon Engineering社について

1997年にアメリカで設立されたフォトンエンジニアリング社は、光学エンジニアリングソフトウェアの開発及びコンサルティングをおこなう企業として、業界トップのレイトレーシング機能を備えたソフトウェア"FRED"を開発しました。

CBS Japanは日本におけるFREDの独占販売代理店です。

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